マルチマテリアル対応ドリルのメリットを最大化する
多用途ドリルが生産性向上のカギに
2025年1月、世界経済フォーラム(WEF)は、グローバル・ライトハウス・ネットワークに認定された製造拠点が、生産性を70%向上させると同時に、エネルギーコストを40%削減し、製品の市場投入までの時間を40%短縮していると報告しました。
では、こうした「ライトハウス」拠点以外のメーカーは、コストを増やさずに生産性を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
ここでは、サンドビック・コロマントのグローバル製品マネージャー(穴加工・マルチマテリアル加工担当)であるジェームズ・ソープ氏が、マルチマテリアル対応の新しいドリルツールが、製造現場の生産目標達成にどのように貢献できるかを解説します。
ライトハウス認定工場に限らず、世界中の製造業者は、硬質鋼や複合材だけでなく、アルミや樹脂などの軟質材まで、多様な素材を扱う部品製造を求められています。しかも、精度と効率を一切妥協せずに実現することが必須です。
こうした課題に正面から取り組むには、従来のドリル性能の限界を超えるだけでなく、競争が激化する市場で工程を合理化できるツーリングソリューションが不可欠です。
課題をどう克服するか
穴あけ加工は製造業において基本的な工程ですが、技術的には非常に要求度が高い作業です。中でも大きな課題となるのが素材の多様性です。製造業者は、硬質鋼のような難削材から、軽量で延性のある金属まで幅広い素材を扱います。それぞれに固有の難しさがあり、硬質鋼は工具摩耗を加速させ、軟質材は加工時に変形しやすいという問題があります。
さらに、熱の発生と工具摩耗も深刻な懸念事項です。高速切削や長時間の加工、難削材の組成は過剰な熱を生み、工具寿命を縮めるだけでなく、加工精度にも悪影響を及ぼします。寸法の狂いや表面不良を防ぐためには、工具設計と加工戦略の両面で効果的な熱管理が不可欠です。
切りくず排出も重要な課題です。深穴加工や高送り加工では、切りくずの排出が不十分だと詰まりや熱の増加、さらには工具破損につながります。ドリル溝の設計は、切りくずをスムーズかつ安定して排出できることが求められます。
また、加工の安定性は高精度製造に欠かせません。航空宇宙や自動車産業で使用される部品では、穴位置や真直度の精度が極めて重要です。わずかなズレでも製品機能を損ない、再加工や廃棄によるコスト増を招きます。安定性を確保するには、堅牢な工具形状と最適化された加工条件の組み合わせが必要です。
最後に、メーカーは持続可能性とコスト効率の両立というプレッシャーに直面しています。廃棄物削減、工具寿命の延長、エネルギー消費の最小化は、経済的・環境的な目標を達成するための優先事項です。こうした要件が、性能とコスト低減を両立するドリルへの需要を高めています。
あらゆる被削材に対応するドリル
生産性を高めつつコスト効率を維持するためには、複数の被削材に対応できる汎用ドリルが求められます。頻繁な工具交換を不要にし、ツーリングコストを削減できるからです。最新のコーティング技術と工具設計により、こうしたマルチマテリアル対応ドリルは品質を損なうことなく高性能を発揮し、コスト削減と持続可能性の両立を実現します。
その最たる例がCoroDrill® Dura 462です。このドリルは幅広い素材で性能を発揮するよう設計されており、微粒子超硬母材によって優れた耐摩耗性と信頼性を確保。均一な微細構造により、超硬合金や延性合金といった難削材でも安定した結果を提供します。素材構成に関わらず、精度と安定性を求めるメーカーにとって不可欠なドリルです。
CoroDrill® Dura 462は、汎用性を重視した形状設計を採用。先端形状は切削抵抗を大幅に低減し、高精度が求められる加工で位置精度を向上させます。クリアランス角は先端強度を高め、シングルマージン構造により熱の発生を抑制し、工具の安定性と性能をさらに強化します。
さらに、サンドビック・コロマント独自のZertivo® 2.0 PVDコーティングが、微粒子超硬合金基材と組み合わさることで、優れた耐摩耗性を発揮。高速加工でも安定したプロセスを維持します。
実際の導入事例では、CoroDrill® Dura 462が生産性を110%向上させ、工具寿命を36%延長したケースがあります。別の事例では、生産性が85%向上し、工具寿命が低価格競合品の2倍以上に達しました。
WEFのライトハウス工場が業界の効率化を牽引する一方で、メーカーはマルチマテリアル加工の複雑さを乗り越えるための適切なツールを必要としています。素材の多様性、熱管理、加工安定性といった課題に対応する汎用ソリューションを採用することで、大幅な生産性向上と運用の最適化を実現できます。