専門化は、もはや製造現場のみに当てはまるものではありません。いまや、ワークフローのすべての側面に適用することができ、従業員と企業双方に利点があるのです。

特に情報共有の速度における技術向上により、世界中のどこであろうと、高い技能を有する人々へのアクセスが可能になりました。ウクライナの小さなオフィスやバハマの海に面したバルコニーからでも、働き、学び、情報を共有することができます。この機動性が専門化の傾向を助長し、仕事がいくつものより小さいピースへと分割され、それぞれのピースがスペシャリストに割り当てられるというプロセスを推し進めました。

従業員の利点は明白です。世界中のどこからでも、都合のいい時間に、関心があるプロジェクトの仕事をすることができます。企業側には、この傾向により、全世界のサプライヤや専門分野を持つすべてのスペシャリストのネットワークを構築する機会が与えられます。個々のプロジェクトにその仕事に最適な人材が携わることは、大きな強みです。

専門化は新しいアイデアではありません。この分野の誰もが、1776年に書かれたアダム･スミスの国富論を引用するでしょう。スミスはここで、ピン工場の18工程の生産サイクルについて詳しく述べています。しかし今日では、専門化は製造現場でのみ当てはまるものではありません。実際、ワークフローのすべての面に適用することができます。

スペシャリストへの直接アクセス

スペシャリスト・ネットワークの活用は、知識労働と関連があります。2011年のハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文「ハイパー専門化の時代（The Age of Hyperspecialization）」で著者のトーマス W.マローン、ロバート J. ラウバッハー、タミー・ジョーンズは、コンピュータを使った仕事は「新種のスピード重視の課題全体をこなすことができる多数の労働者に分散される」と述べています。

トップコーダー社やイノセンティブ社のような会社は、プログラマー、科学者やエンジニアがスペシャリストが専門性を必要とする仕事で競争できる人材マーケットを提供しています。 雇用者の利点は、直接、即時かつ経済的に、必要な分野のスペシャリストにアクセスできることです。サマソース社やアマゾン・メカニカル・タークなどその他のオンライン人材マーケットは、プロジェクトを効率的にかつ高い費用効果でこなすことができる遠隔労働者にウェブ検索やデータ入力など時間がかかる「基本作業」を依頼する手段を提供しています。

専門化のデメリット

しかしながら、アウトソーシングが企業の関心に弊害をもたらしかねない、いくつかの事例があると、リバーウッド・ソリューションズ サプライチェーン戦略担当副社長のジェフ・ワリングフォードは指摘しています。アウトソーシングと専門化が同一でないことに（アウトソーイングでは生産工程のすべてがサプライヤに割り当てられている）、これらの懸念が関係しているのです。ワリングフォードは、企業の製造工程が、製造方法であれ、企業秘密の必要性（例えば、コカコーラの成分）であれ、あるいは制限されたリソースやチャンネルへのアクセスの重要性であれ、競争力のあるアドバンテージの源であるとすれば、生産は組織内にとどまるべきだと言及しています。

スキルアップに取り組む前にエキスパートが投入されてしまうため、正規の被雇用者にとっては、専門化はその能力発展を妨げかねないものです。一方、エキスパートは、同じ仕事の繰り返しに飽きてしまう可能性があり、最悪の場合、世界規模のネットワークが、結果としてハーバード大学法学部教授のジョナサン・ジットレインが言うところの「デジタルスウェットショップ」（低賃金雇用により労働者が搾取される場）にもなりえるのです。被雇用者の移動がもたらす利点は、両刃の剣になりかねません。スペシャリストは従来の被雇用契約に縛られていないため、望むときにネットワークから離れることができます。

「専門化は、機動性と費用効率がより高い生産ソリューションを探す会社にとって1つの手段です。」

変化する要求に応じる方法

それでも、機動性と費用効率がより高い生産ソリューションを探す会社にとって、また変化しやすいお客様の要求に応じることを望む企業にとって、才能のミスマッチに対処しようとしている雇用者にとって、そして自らのさまざまなオプションを熟考している被雇用者にとって、専門化は1つの手段なのです。

製造から知識労働へという専門化のアイデアは同じです。つまり、最高の仕事を提供する最適な人材を、最適な費用で、最適な時間枠で見つけること。すべて会社が常に変化するお客様の要求に応じるために必要とすることです。

「この傾向は、全世界のサプライヤや専門分野のスペシャリストのネットワークを構築する機会を提供します。」

継続的な学習は、スキルギャップを埋めて競争における優位を保つための鍵です。金属加工に関するコンピテンスおよび知識の共有と習得は、当社のDNAに刷り込まれています。サンドビック・コロマント・アカデミーのマネージャーであるコリーナ・ケオが、当社がお届けする、お客様のニーズに合わせてカスタマイズされた、さまざまな教育プログラムについて詳しく説明します。

コリーナ、あなたにとって、学習にはどのような価値がありますか？

私にとって、学習は生涯続くものですあなたが、学生、機械オペレーター、エンジニア、生産ユニットのリーダーあるいはCEOのいずれであるにせよ、私たちはみな、業界のテクノロジー、ソリューションおよびトレンドに関する知識を常に最新のものに更新していく必要があります。

サンドビック・コロマントのトレーニングプログラムの範囲、およびどのようなテーマがカバーされているかを簡単に説明できますか？

トレーニングプログラムは、お客様やパートナー固有の製造ニーズに合うように設計されています。サンドビック・コロマントは、金属加工工具の適用に関する基本的な金属加工コースから始まり、上級者向けのソリューショントレーニングまで、広範なプログラムを提供しています。プログラムには、製造経済性において最も実践的なノウハウを提供するためのツーリング、加工アプリケーションおよび被削材に関する最新技術が含まれています。さまざまなテーマからご自身のニーズや課題に合致したものを選択するのは、お客様自身です。製造業のニーズおよび課題への取り組みに合致することを目指した、豊富なテーマがあります。

私は実際にサンドビック・コロマントに出向く必要がありますか、それともリモートトレーニングも提供されているのですか？

次の参加方法から選択することができます：

• 設備が完備したサンドビック・コロマントセンターでのオンサイトトレーニングおよびイベント
• オンライントレーニング、イベントおよびウェビナー
• 自習e-ラーニング・コース

個人的には、可能であればいずれかのサンドビック・コロマントセンターに出向かれることをお勧めします。最新のセンターには、学習、インスピレーションおよびネットワークのための完璧な環境が用意されています (トップクラスの美味しいコーヒーも)。

サンドビック・コロマントが行っている教育の提供がどれほど好評をもって受け入れられているか、いくつか詳しく教えていただけますか？

もちろんです、私たちのオファーが好評であることは参加者の数から明らかだと思います。30,000人以上のエンジニア、技術者およびオペレーターが、毎年テクニカルトレーニングプログラムに登録しています。

大切なことを言い忘れていましたが、私たちにはみな、トレーニングプログラムを始めることは簡単なことではないかもしれない、ということが分かっています。学習に対するあなたのモチベーションはどのようなことですか？

新しいものを学習し、かつゲームのトップに立ち続けるように自分を励ますことは、私にとって本当に楽しいことです。かつてアメリカの作家アンソニー J. ディアンジェロが書いていたように：「学習に対する情熱を深めなさい。そうすれば、あなたの成長が止まることは決してありません。」

コリーナ・ケオ
コロマント・アカデミーのマネージャー

彼女はチームと一緒に、お客様、パートナーおよび将来のエンジニア向けのトレーニングプログラムを設計・開発しています。コリーナは製造産業の再教育、スキルアップおよび将来へ向けての新たなスキリング教育に奮闘しています。